NVIDIAが次世代「Vera Rubin」アーキテクチャの設計をOCPに公開、巨大テック各社とギガワット規模のAIファクトリー構築で連携
OCP Global Summitにおいて、NVIDIAはMeta、Google、Cisco、Microsoftとのネットワークおよび電力に関する主要イニシアチブと並行して、Vera Rubinの主要なコンピュートおよびラック設計を業界標準としてオープン化した。

サンノゼで開催された「Open Compute Project(OCP)Global Summit」において、NVIDIAは次世代「Vera Rubin」アーキテクチャの主要な設計を業界に向けてオープン化すると発表した。データセンターの規模がメガワット単位からギガワット単位の運用へと拡大するなか、同社はオープンな「NVIDIA MGX」アーキテクチャを通じてラックおよびコンピュートトレイの設計を寄贈し、世界中のAIファクトリーに向けた標準化基盤を確立する狙いだ。
この動きは、Meta、Google、Microsoft、Cisco、Visionbayなどのハイパースケーラーやネットワーク大手が参画する、広範なインフラ標準化およびハードウェア協業の一環として行われた。
Open MGX 1.2と専用CPUラック
OCPの「Open DC Initiative」を通じて、NVIDIAは第3世代のMGX AIデータセンター向けリファレンスデザインに貢献した。アップデートされた「MGX 1.2」仕様には、ラック規模のブラインドメイト液冷機構、標準化された電源インターフェース、ファンレスコンピュートトレイ、および大電力環境向けに設計された液冷式の5,000Aバスバーが盛り込まれている。
このアーキテクチャは、ネイティブな19インチ機器との互換性を追加しつつ、最大250kWに達するラック電力密度をサポートする。大規模な学習および推論ワークロード向けに設計された「Vera Rubin NVL72」プラットフォームと並行して、NVIDIAは「Vera CPU」ラックの設計仕様を発表した。MGX基盤上に構築されたこのプラットフォームは、エージェンティックAIタスクに特化して設計されており、ツールの呼び出し(Tool Calling)やオーケストレーション、サンドボックス化された実行をリアルタイムで処理する。
ハイパースケーラーによるファシリティ設計と系統回復力の標準化
AIファシリティ建設における仕様の断片化(フラグメンテーション)を防ぐため、NVIDIAは業界他社と協力して2つの主要なオープン仕様を策定した。
- Open Data Center Specification v0.7: AMD、Google、Metaとともに策定された仕様で、電源アーキテクチャ、冷却システム、物理ファシリティのレイアウトを網羅する標準化された青写真を提供する。
- OCP Grid Resilience Specification: Google、Meta、Microsoftとともに公開された標準規格であり、メガスケールのAIクラスターが電力系統(商用グリッド)の障害にどのように対処するかを規定している。システムが系統接続を維持し、自動的に適応して、2秒未満でほぼ全負荷の電力状態へと復帰するためのプロトコルを確立する。
増大する電力密度への対応として、VisionbayはNVIDIAのリファレンスデザインとVertivの電源・熱管理システムを採用した800V DC対応のAIファクトリープラットフォーム「K-1」の計画を発表した。K-1はクラスターレベルのパワーセンターを利用し、コンピュートトレイにより近い場所で交流(AC)から直流800V(800V DC)へと変換することで、従来の低電圧配電と比べて銅配線の量や変換損失を削減する。
次世代ネットワーキング:Spectrum-6、USFP、Falcon
ネットワーキングもサミットにおけるもう一つの主要な焦点となり、複数のアーキテクチャ上の節目が示された。
- MetaがSpectrum-6を採用: Metaは液冷式「IcePack」ラック内にNVIDIAの102.4Tb/sイーサネットスイッチ「Spectrum-6」を導入する。「N-IceCube」と呼ばれるこのスイッチは、MetaのオープンソースネットワークOSである「FBOSS」で動作する。「ConnectX-9 SuperNIC」を備えた「Spectrum-X Multiplane」アーキテクチャを活用し、GPUトラフィックを最大8つのネットワークプレーンに分散させ、10万基を超えるGPUクラスターをサポートする。
- CiscoとNVIDIAがUSFPを発表: 両社は超高密度トランシーバーモジュール「Ultra-Dense Small Form Factor Pluggable(USFP)」の計画を明らかにした。USFPは、現行のレーンあたり200Gb/sのOSFP規格と同等の設置面積を維持しながら、レーンあたり400Gb/sのリンク向けに16の全二重レーン(ロードマップ上では最大32レーン)を提供する。この設計により、帯域幅密度は4倍、電力効率は約1.3倍に向上する。AmphenolやTE Connectivityなどのエコシステムによるサポートも受けている。
- GoogleのFalcon Transportを統合: NVIDIAとGoogleは、今後登場する「NVIDIA ConnectX-10 SuperNIC」および「BlueField DPU」において、Googleの「Falcon Transport」プロトコルをサポートすることを確認した。これにより、大規模AIクラスター全体で高信頼なハードウェアアクセラレーション対応のマルチパスイーサネット伝送が可能になる。
DSX AIファクトリー向けのオープンソースソフトウェア
これらの物理システムを統括・運用するため、NVIDIAは「DSX AI Factory」運用レイヤー向けの新しいオープンソースソフトウェアツールも公開した。「NVIDIA DGX Cloud」での運用ノウハウに基づいたこれらのモジュールには、スイッチの自動デプロイを行う「NVIDIA Config Manager」、トレーニングジョブ実行前にGPUクラスターの負荷テストを行う「Cluster Readiness Engine」、ファームウェア操作を統合する「Rack Management Service」、ベアメタルのマルチテナントプロビジョニングを担う「Cluster API Provider」が含まれる。


